この記事で手を動かせるようになること

検索でよくある「ClashX Pro グローバル ルール 違い」のような問いに端的に答えると、次の三点です。第一に、通信が設定ファイルの rules に従って振り分けられる状態(ルールモード)と、広くプロキシ側へ寄せる状態(グローバルモード)を混同しないこと。第二に、メニューバーからワンクリックで切り替えたあと、ブラウザやターミナルで期待どおりかを短時間で確認すること。第三に、効かないときに「モードの問題」なのか「アプリがシステムプロキシを読まない問題」なのかを切り分けることです。

すでに別記事で TUN モードの有効化まで進めている読者もいらっしゃるでしょう。TUN はトラフィックをどうやってコアに載せるかというレイヤーであり、本稿が扱うルール/グローバルは、そのうえでコアがどのポリシーで出口を決めるかというレイヤーです。混ぜて説明すると混乱が増えるので、ここではメニューバー上のモード名を軸に話を進めます。

ルールモード・グローバルモード・ダイレクトを言葉で押さえる

ルールモード(Rule) は、ドメインや IP、GEOIP などの条件にマッチしたときに「どのプロキシグループへ渡すか」「直結させるか」を設定ファイルが決める運用です。国内サイトは DIRECT、特定の動画 CDN は選択したノード、というように細かい設計をそのまま尊重できるモードです。日常的に一番バランスがよく、購読プロファイルがちゃんとメンテされている前提ではまずここをホームポジションにするのが無難です。

グローバルモード(Global) は名前が紛らわしいのですが、ネットワーク全体を OS の仮想 NIC で丸ごと載せる話ではなく、多くの場合選択しているプロキシポリシーを広く適用するイメージに近いです。結果として、ルールで DIRECT に落としていたはずの国内向け通信までプロキシ経由になりやすく、銀行サイトや社内ポータルが遅くなる・ブロックされる、といった副作用が出やすいモードでもあります。海外サイトだけ開けないときの切り分けや、一時的にすべてを同じノードへ寄せたいデモ用途では便利ですが、常時オンにする用途は限定的です。

ダイレクトモード(Direct) はコアによるプロキシ振り分けを避け、実質的に直結寄りへ寄せたいときに使います。ルールの書きミスを疑うときの对照実験にも向きます。ただしシステムプロキシが別経路で残っている、アプリが独自にプロキシを持っている、といった場合は「ダイレクトなのに挙動が変わらない」ことがある点には注意してください。

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表示ラベルはビルドやローカライズで「Rule/Global/Direct」ではなく日本語併記だったり、アイコンだけだったりします。意味は上記の trio で対応づければ十分です。

メニューバーからモードを切り替える(実測手順)

以下はバージョンによって文言がわずかに違っても再現しやすい流れです。ポイントは「アイコンをクリックしてProxy Mode/Outbound Mode/モードと書かれたブロックを開く」ことです。

  1. プロファイルが読み込まれているか確認する。 メニューに設定名や更新時刻が出ていれば最低限 OK です。未読み込みのままモードをいじっても挙動が読めません。
  2. メニューバーの猫アイコン(またはアプリアイコン)をクリックする。 一覧のうちモード切替にあたる項目を探します。サブメニュー形式になっている場合は一度開いて Rule/Global/Direct を確認します。
  3. 目的のモードを選択する。 反映はだいたい即時ですが、ブラウザを再起動したほうがキャッシュの影響が消えて確認しやすいケースもあります。
  4. 必要なら「システムプロキシをセット」「システム環境設定へ追随」系のトグルを確認する。 Safari や一部アプリはここがオフだとモードを変えても見え方が変わりません。
  5. 外向きの確認サイトで期待どおりか見る。 ルールなら国内サービスは国内らしい経路、グローバルなら広く同一ノード側の出口に見える、という素朴なチェックで十分です。
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グローバルはルールより強くプロキシ側へ寄せがちです。ログイン必須の金融系や社内ツールを開いたまま切り替えると、急にアクセス拒否になることがあります。切り替え前にタブを閉じる、VPN を止める、など安全側の操作を意識してください。

モードとプロキシグループ(ノード選択)は別物

初心者がつまずきやすいのは、「グローバルにしたのに遅い」「ルールなのに特定サイトだけ別ノードに見える」といった現象が、実はモードではなくプロキシグループやフォールバック設定由来であるケースです。GLOBAL グループで自動選択や URL テスト付きのグループを選んでいると、見かけ上ノードが勝手に変わります。

切り分けのコツはシンプルで、まずメニューから明示的に単一ノードを選び直し、その状態でも問題が再現するかを見ます。再現しないならモード以前にグループ設計を疑う段階です。設定ファイルを直接編集する習慣がない方は、ダッシュボード画面や外部パネルがある場合にログを眺めると早いです。

システムプロキシ連動とターミナル/開発ツール

macOS では「システム設定 → ネットワーク → 詳細 → プロキシ」の値が変わるタイプのクライアントもありますが、アプリによってはそもそもシステムプロキシを読みません。curlgit、コンテナ、一部 IDE は環境変数や独自設定が優先されることが多く、モードを Rule に戻したつもりでも CLI だけ別ルートという景色になりえます。

そのような環境では ターミナル向けのプロキシ環境変数や、Docker を絡めるなら コンテナからホストの Clash へ向ける HTTP_PROXY の記事が実務的な続きになります。いずれも「モード切替」とはレイヤーが異なるので、症状ごとに記事を分割して読むと頭の中が整理されます。

DNS や fake-ip が絡むときのサイン

モードを Global にしても特定ドメインだけ期待した経路にならないとき、DNS の enhanced-mode やキャッシュが混ざっていることがあります。典型的にはブラウザでは動くが CLI だけ変、という具合にレイヤーが食い違います。根本原因は DNS にあり、モードをいじっても解決しないことがほとんどです。

まずはクライアントのログで対象ホストがどのポリシーに載っているかを確認し、必要なら設定側の DNS セクションを見直します。詳細な網羅はトラブルシュート記事に譲りますが、一般的な切り分けの型は共通です。

TUN を使う読者への一言(境界の明示)

TUN をオンにすると「システムプロキシを無視するアプリ」もまとめてコア側へ流れやすくなります。しかし TUN が有効でも、ルールで DIRECT に落ちるトラフィックは DIRECT のままですし、グローバル寄せのポリシーを選べば広くプロキシ側へ寄ります。つまり TUN は載せ方、ルール/グローバルは振り分け方、という二段構えです。

TUN のインストールや権限まわりを掘り下げたい場合は TUN ガイドへ。GUI の初期設定全体を押さえたい場合は Clash Verge Rev の入門も参照ください。製品は違っても「モード名の意味」はほぼ転用できます。

よくある質問(本文版)

海外サイトだけ見たいのにルールで詰まります

ルール集合が古い、GEOIP のデータベースが期待とズレている、プロバイダ側でドメインが丸ごと別 CDN に移っている、などが典型です。長期的には購読の更新とログ確認が必要ですが、短時間だけ様子を見たいなら一時的にグローバルへ寄せて出口が単純になるかを確かめるのは有効です。副作用があるので常用はおすすめしません。

会社の VPN と併用すると壊れます

VPN がルート全体を握ると Clash 側のポリシーより優先されることがあります。モードを Direct にして VPN のみに寄せる、あるいは順番を逆にする、といったどちらを主役にするかの設計が必要です。部門ごとのポリシーがある場合は勝手に両立を試さず、手順書に沿うのが安全です。

メニュー項目が自分のビルドと一致しません

フォークやベータ版では文言が変わります。Rule/Global/Direct の trio が見つかれば同一概念です。見つからない場合は「Outbound」「Policy Mode」など別ラベルになっているので、公式ドキュメントやリリースノートのスクリーンショットと突き合わせてください。

まとめ

ClashX Pro におけるルールモードは、購読プロファイルの設計をそのまま享受できるデフォルト寄りの賢いモードです。一方グローバルモードは、名前ほど「便利な魔法」ではなく、国内外を問わずプロキシ側へ寄せやすい強めのモードであることを理解しておくことが事故防止になります。メニューバーで切り替えたあとは、システムプロキシ連動やプロキシグループの自動選択もセットで確認すると、見えないズレがほどけます。

商用のワンタップ VPN に代表されるツールは手軽ですが、サイト単位で経路を読む視点が弱く、開発者向けのログやルール設計まで含めた運用には向きません。逆に Clash 系は最初だけ概念が多く感じても、レイヤーを分解して理解するとブラウザ/CLI/コンテナまで一気通貫で説明できる再現性が強みになります。細かい経路制御と安定したコアを両立したい方は、まずローカルでモードの意味を体で覚えてから本番運用に載せるのがおすすめです。Clash を無料ダウンロードして、ルール設計とセットで快適なプロキシ環境を試してみてください