なぜ iPhone だけ手順を分けて書くのか
Windows や macOS では Clash Verge Rev のようなデスクトップ向け GUI が主流で、Android では ClashMeta for Android がよく使われます。一方、iPhone では App Store の審査やシステム制約の関係で、同じ名前のクライアントがそのまま存在するとは限りません。
Stash は iOS 向けに広く使われている Clash/Mihomo 系のクライアントのひとつで、リモートの YAML(購読)を取り込み、ルールに沿ってプロキシへ振り分けます。用語(proxies、proxy-groups、rules)はデスクトップ版 Clash と共通ですが、メニュー名や操作の順序はアプリ独自です。ここでは「設定の思想は共通/指の動きは iOS 向け」と捉えて進めてください。
始める前に:購読リンクと権限
購読を取り込む前に、プロバイダーのダッシュボードで Clash 形式(YAML で proxies: などが並ぶ)の URL を用意します。形式の見分け方や Base64 しかない場合の扱いは、共通の解説として サブスクリプション導入ガイド にまとめてあります。Stash も最終的には同じ YAML を解釈するため、リンクの種類を誤ると最初から読み込めません。
iOS では VPN プロファイルの許可が必要です。初回接続時に「設定に VPN 構成を追加してよいか」と聞かれたら許可してください。iCloud キーチェーンや画面ロックの状態によっては、追加の確認ステップが入る場合があります。
購読 URL を Stash に取り込む(一般的な流れ)
アプリのバージョンで表記は多少変わりますが、おおむね次の順で進めます。
- Stash を起動し、設定またはプロファイル/購読に相当する画面を開きます。
- 新規や+から「URL から追加」「リモート」など、HTTP(S) で取得する項目を選びます。
- プロバイダーからコピーした購読 URL を貼り付け、わかりやすい表示名(例:メイン契約・バックアップ用)を入力します。
- 保存/更新を実行し、一覧にプロファイルが現れるまで待ちます。初回は数秒〜数十秒かかることがあります。
- 一覧で対象のプロファイルを有効または選択中にし、ホーム画面に戻って接続を試します。
複数の購読を登録する場合、名前を区別しておくと切り替え時に迷いません。トラフィックの上限が別々の契約であれば、どの URL がどの契約に対応するかメモしておくと安全です。
画面内のボタン名が記事と一致しない場合は、同じ意味の語(「Remote」「Subscribe」「Profile」など)を探してください。本質は「HTTPS で YAML を取得してローカルに保存する」ことです。
更新とノード一覧の確認
購読はサーバー側のノード構成に合わせて変わります。プロバイダーがノードを入れ替えたあと、古いリストのままでは接続できないことがあります。Stash ではプロファイル一覧から更新(リフレッシュ)を実行し、最新の YAML を再取得してください。
更新後、プロキシやノードの画面でサーバー名が列挙されているか確認します。ここが空のままなら、購読本文が正しくないか、ルール側で参照しているグループ名と設定が噛み合っていない可能性があります(後述のトラブルシューティングへ)。
分流ルールの基礎(ルールモードとポリシーグループ)
「分流」とは、ドメインや IP、GEOIP などの条件に従って、通信を直結(DIRECT)にするか、特定のプロキシグループへ送るかを決める仕組みです。設定ファイル内では rules: に列挙され、上から順に最初にマッチした行が採用されます。
多くの購読では、PROXY や Auto、手动选择 などのポリシーグループが定義されています。Stash の画面上では、これらのグループをタップして「どのノードを選ぶか」または「自動選択に任せるか」を切り替えます。全体を一括で海外プロキシにしたい場合は GLOBAL や最上位のプロキシグループを選ぶ構成が多いですが、購読の書き方次第なので、自分の YAML に何があるかを意識してください。
初心者向けのおすすめは、まずルールモード(設定によっては Rule/規則)を選び、国内や LAN は DIRECT、それ以外は PROXY 側へ流れる状態を確認することです。意図せず全トラフィックがプロキシに乗っている/乗っていない場合は、モードが Global や Direct に固定されていないかを見直します。
DNS と「見えているのに繋がらない」
分流が正しくても、DNS の解決先が期待とずれると、サイトが開かないことがあります。Clash 系では fake-ip や redir-host などの設定が購読に含まれることがあります。Stash 側で DNS 関連のオプションがあれば、購読の推奨に合わせるか、プロバイダーの FAQ を参照してください。
モバイルキャリアや Wi-Fi によっては、IPv6 の経路だけが不安定というケースもあります。長時間うまくいかないときは、別ネットワーク(例:Wi-Fi とモバイルデータ)で再試験すると切り分けがしやすくなります。
よくある失敗:検証エラー・ノードなし・更新できない
次のチェックリストは、一般的な Clash のトラブルシューティング と共通する部分が多いですが、スマホ特有の点も含めています。
- URL のコピー漏れ・改行混入:貼り付けた文字列の先頭が
https://になっているか、余計なスペースがないか確認します。 - 形式が Clash 用ではない:汎用 Base64 リストしかない場合は、プロバイダーの「Clash/Mihomo」用リンクに切り替えるか、別途変換が必要です(形式の解説を参照)。
- 契約期限・トラフィック切れ:403 や空レスポンスは、期限切れや流量超過でよく起こります。管理画面でステータスを確認します。
- ネットワークが購読サーバーに届かない:キャリアやルーター側のブロックで取得に失敗することがあります。別回線や、一時的に他のネットワークで更新できるか試します。
- 証明書・HTTPS 検証:稀にプロバイダー側の証明書がクライアントの検証と衝突します。アプリに「検証を緩める」系のオプションがある場合でも、常時オフにするのは避け、プロバイダーへ問い合わせるのが無難です。
- プロファイルはあるがノードが出ない:YAML 内の
proxy-groupsが参照する名前と、実際のproxies:の名前が一致しているか。購読提供元の不整合の場合は再発行を依頼します。
Android 版記事との対応関係
Android 向けの ClashMeta の手順 と同じ購読 URL を使える場合が多いです。違いは OS の VPN 権限の取り方と、アプリの画面構成です。ルールの文法やグループの概念は共通なので、一方で理解した内容は他方にもそのまま活きます。
まとめ
iPhone で Stash を使うときの要点は、正しい Clash 形式の購読 URL を取り込むこと、プロファイル更新でノードを最新に保つこと、そしてルールモードとポリシーグループで分流を確認することの三つに集約できます。エラーが出たら URL・契約状態・ネットワークの順に切り分けると、原因をかなり絞り込めます。
デスクトップでは画面が広く、ログや設定ファイルの編集にも向いています。スマホで運用を固めたあと、PC 側でも同じ購読を使って細かく調整したい場合は、Windows/macOS 向けクライアントとの組み合わせが扱いやすいです。→ Clash を無料ダウンロードして、快適なマルチデバイス環境を試す